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長いお別れにむけて

折りたたみ傘を持った日は雨に避けられる

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折りたたみ傘を持った日は雨に避けられる





猫の目玉は澄んだ湖のようだ。
と、いうのは多分どこかの小説のなかで書いていることと思う。きじとらの猫の目玉がじっとわたしを見つめるたびに、そう思う。水を湛えていて、少し震えていて、その奥で瞳孔が伸び縮みする様子はいつまでだって見ていられる気がする。




冬の始まりに切った髪は、ここ何年かの中で一番短い。襟足に冷たい風がびしばしあたって、寒いけれど愉快だ。並木道を色鮮やかに染めていた葉っぱはいつの間にか姿を消しているし、あんなに道路を埋め尽くしていた落ち葉もほとんどなくなった。




わたしは毎日、大きな水溜りの上に架けられた橋の上を行ったり来たりしている。大きな水溜りには渡り鳥が浮かんでいる。白鳥はとても悲しそうな声で鳴きながら日の沈む空を飛んでいく。ここはそういう場所だった、わたしが生まれる前も、わたしが離れていた九年間も、これから先もしばらくは。わたしはここに根を張って暮らしていけるのだろうか、と、まだそんなことを考えている。




帰ってきた頃に比べるとずっとうまくキーボードを叩けるようになった、その指でほんの少し前まで触っていたいくつかのもののことは、多分もう永遠に思い出せない。





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