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長いお別れにむけて

地下室

地下室には懐かしいにおいが漂っていた。随分と昔に嗅いだことがある。しばらくあれこれと考えていると、不意に答えがやってくる。錠剤が飲めないほど小さなときに飲んでいた、子供用の、粉のタイプの風邪薬、それを水で溶かしたときのにおいだった。甘ったるいような、重たいにおい。



近所にあった個人の小さな病院の窓硝子はいつも曇っていた。歩いてすぐのところにあって、わたしは何度となくそこへ通った。先生が聴診器を当てるときの目、やさしい声、喉をさわる手の温度。そういうことを不意に思い出す。頭がぼんやりしている。まだ多分風邪のなかにわたしはいる。
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