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長いお別れにむけて

メリーゴーランドのオルゴールについて

宝物が壊れてしまったとき、悲しいのにどこか安心してしまう。もう所有しなくていいのだとほっとしている。それは本当に好きだとは言わないのだと言われたこともある。本当に好きなものだったら悲しくてたまらないだろう、と。わたしだって悲しくないわけではないのだ。心はそんなに均一に感情を持たない(のではないかとわたしは思う)。色々な気持ちが混在するものだ(とわたしは思う)。悲しいのなかに安堵がある。



小さい頃大切にしていたオルゴールを壊してしまった。メリーゴーランドのかたちをしたオルゴールだった。流れる曲は「浪漫飛行」。壊れたオルゴールは父が(或いは母か、それとも伯父だったかもしれない)直してくれた。きちんと回って音も流れるようになった。わたしはオルゴールが壊れた瞬間に、とてつもない喪失感と、若干の後悔、そしてほんの少しの安心感を、感じていた。もうこのオルゴールのことを大切なものとして思い続ける必要がない、という安堵。でもオルゴールは戻ってきた。そしてそれはもう宝物ではなくなってしまった。



わたしは冷たい人間なのかもしれない。よく他人にそう言われる。おかしいよ、とある人には言われた。どうして人の気持ちがわからないの? おかしいよ! って、言われてしまった。そのときわたしは、その女の子に、分かるわけがないよ、だってわたしとあなたは他人だから、なんて言ってしまった。わたしも彼女もとても子供だったから。想像力、と思う。わからなくっても想像することはできるのにね。



本当に大切なものがないんだね、と言われると、それは違うのにな、と思う。だけどもうそういうことをいちいち反論するのはやめた。そうかもしれない、とだけ返す。わたしはきっと冷たい人間なのだろう、体温もとっても低いから。この話、何度もしたね、もう、やめよう。
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