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長いお別れにむけて

ガープの世界

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ガープの世界

本を読む。通勤電車のなかで。20分にも満たない時間のなかで。少し前まで、片道45分ほど電車に乗っていた。その頃のくせで没頭しようとすると、浅瀬で現実に引き戻されてしまう。これから深く潜るところだったのになあ、と思う。でも楽でしょう? 今の街は好きでしょう? 頷く。なんだか少しさみしいけれどね。



前に住んでいた町は、学生の頃から7年ほど、暮らした。川の近くで、高速道路の近くでもあり、あの等間隔に続く橙色の明かりや、深夜も続く潮騒のような車の走る音は、わたしにとってある種の救いのようなものだった。この高速道路をずっとずっとまっすぐに行けば君の生まれた街へ行けるんだよ、と言われたこともあったっけ。でもわたしは結局、車で家まで帰ることはなかった。実家を出るとき来た道を通ることはなかった。ただの一度たりとも。




本を読む。あらゆるものに興味を持ち、手を伸ばす。でも本当に触れるものはほんの少ししかない。触れられたとしても、粉々に壊されてしまうことの方が多い。ヒトの形に生まれたのに、どうにも生きにくい。本を読む。なんで読むのと問われるたびに口を噤む。アーヴィングの小説に似たような場面があって、そこでは、「続きが気になるから本を読むのだ」と答えていたっけ。本を読む。いつでもどこでも変わらずに。書かなくなっていった人たちが残していった文章を何度も反芻しながら、わたしが書いたささやかなものが壊されていくのを見つめながら、もう少しタフになりたいなと思う。またひとつ、本を読み終えてしまう。わたしはまだ、書き散らかしている。




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